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町中に残る手書き文字「のらもじ」

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のらもじ_おかだや

はじめまして、6月に入社しましたデザインチームのTKです。
今回初のブログの投稿になります。早速ですが、タイトルの内容に入る前に少しだけ私の話をさせてください。


私は現在こちらでのデザイン業務と並行して大学院で「民俗学」という学問を学び、研究しております。「民俗学」という学問は「歴史学」や「文化人類学」などと非常に近い学問領域で、端的に説明する事が難しいのですが、その特徴をとてもざっくり申し上げれば「現在残っているものから昔の庶民の歴史を考える」というものです。
これがどういう事かと言いますと、そもそも農民や村民などの昔の一般の人は文字の読み書きができず、記録して残すという概念がほぼなかったということが根底にあります。現在博物館などに残っている歴史的な書物等は、主に当時から後世に残すべきと判断された一部の上流階級の人々の記録が主要です。一般の人々の文化は、生活に関することはもちろん、話や歌や仕事にまつわる技術なども主に口頭で伝承されており、それらは殆ど記録に残されて来なかったのです。
そのような記録されなかった有り触れた庶民の歴史「庶民史」を、現在身の回りに残っている物や、事物を伝承している方のお話、書物の断片的な情報から研究したり収集しようとする学問が「民俗学」というわけです。


前置きが長くなりました。
タイトルの話になりますが、皆さんは「のらもじ」というものをご存知でしょうか?
「のらもじ」は「町中にある看板などの、フォントのように整えられてない手書き文字」を指す言葉で、「のらもじ発見プロジェクト」というグラフィックデザイナーの下浜臨太郎さん達のグループが2013年頃から始められた企画から生まれた言葉です。このプロジェクトは主に見つけた「のらもじ」の形状を分析し、フォント化して誰もが使えるフォントデータとして配布し使ってもらうことで、その魅力を知ってもらうというものです。
私は学部生時代にこのプロジェクトを知ってからその概念に魅力を感じ、町中で「のらもじ」を発見した際にはできるだけ写真に収めるようにしています。今回はその一部を載せてみようと思います。

のらもじ_キョーエイ
のらもじ_フジランチ
のらもじ_ながつか


今のようなデジタルフォントがない時代に手描きの職人の方が作った文字はそこにしかない唯一無二の文字であり、現在のようなDTPから作成された文字やロゴなどにはない魅力があります。しかし、これらの文字は何もしなければお店の閉店などと共に失われていくでしょうし、手書き文字を書かれる職人さんも今では殆ど残っていないようです。
このような町中に残る何気ない素朴な手書き文字に注目して収集し、デジタルデータとして記録に残すという「のらもじ発見プロジェクト」の活動に、私は民俗学の研究理念ととても近いものを感じています。


私の民俗学における研究領域は行事や祭礼などで、よく地方のお祭りなどを調査しに行くのですが、地方の町中には東京に比べてまだまだたくさんの「のらもじ」が残されています。
東京でも少し静かな通りを歩けば見つけることができるので、皆さんも町中を歩く時はぜひ「のらもじ」を探してみてください。

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